人間活動が引き起こす陸域・海洋・雪氷圏などの表層環境の変化は、自然から放出・生成されるエアロゾルの量を変化させます。たとえば、地球温暖化によって植生の分布や森林火災の頻度が変わると、それに伴って植生および森林火災由来のエアロゾルの放出・生成量も変わると考えられます。このような変化は、放射や雲のプロセスに影響を与え、温暖化の加速もしくは抑制につながるフィードバックを形成する可能性があります。また、温暖化によって北極域の積雪や海氷の融解が進むと、露出した地表や海面からエアロゾルの放出が増えることが予想されます。そして、この変化は、新粒子生成や雲粒形成などのプロセスを通して雲の微物理特性や雲放射強制力に影響を与え、北極域の温暖化を加速もしくは抑制するフィードバックを形成する可能性があります。
私たちは、気候モデルで十分に考慮されていないエアロゾルの特性とプロセスに注目し、自然起源エアロゾルと気候との相互作用やフィードバックのメカニズムを明らかにするための研究を進めています。