安定同位体比とは

 

 安定同体比とは

同位体とは、同じ元素に属するが質量数が異なる原子のことです。たとえば、質量数が16の酸素原子(16O)には質量数が18の酸素原子(18O)がある割合でまざっています。安定同位体比の変動は、標準物質からの相対的なズレをδ(デルタ)という記号を用いて表します。

地球の水循環中の蒸発・拡散・混合プロセスによって、同位体比は変化します。この情報を用いることで、水の起源や降雪時の気温を推定することが可能になります。図は、大気と海での酸素同位体比(δ18O値)のおおよその分布です。基準になる海水のδ18O値はゼロに近く、海水から水蒸気が発生する場合、重い同位体(18O)は蒸発しにくいので、δ18O値は小さくなります。雲は、高温から低温の地域に移流していく過程で、相対的に「重い」雨を降らし続けるために、δ18O値は次第に小さくなっていきます。

水は地球の表層に普遍的に存在するために様々な形態で保存されています。アイスコアは数万年前の雪そのものです。他にも岩石や生物の殻の酸素同位体比、岩石に閉じ込められた過去の降水、樹木セルロースの酸素同位体比などを分析すると過去の水循環の履歴を追跡することができます。